広教組第四次女性参画推進行動計画

 日本は、「日本国憲法」において差別の禁止(第14条)と男女平等(第24条)を謳い、1985年に「女子差別撤廃条約」を批准してから40年となる。「男女雇用機会均等法」「男女共同参画社会基本法」「女性活躍推進法」等、女性の地位向上と男女間の格差解消をめざすさまざまな法律が制定された。しかし、セクシャル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、男女間賃金格差、指導的地位を占める女性の割合等は改善されておらず、いまだ、女性の人権がないがしろにされていると言わざるをえない。
 また、男女平等度の指標となるジェンダー・ギャップ指数における日本の順位は、148か国中118位(2025)。先進主要7か国で最下位であり、とりわけ政治参画・経済参画における男女格差が大きいままである。それは、社会全体に根強く残る性別による固定的役割分担意識や制度改革の遅れが女性の政治分野・経済分野への進出を阻んでいるからであり、その根底には、性差別が解消されないまま温存されている実態がある。長い間、日本社会は男性中心、男性優位で成り立ってきた。そのような社会構造や価値観を変えていくことが、性差別を解消し、女性参画を進めていくための絶対必要条件である。
 女性参画の推進は、女性の人権確立と多様性(ダイバーシティ)が尊重される社会を実現するとりくみであり、誰もが生きやすい世の中をつくることにつながる。労働組合の大きな使命である。広教組は教職員組合として、教育と労働の分野から女性参画を積極的にとりくむ必要がある。

 男女同一賃金、産育休獲得、宿日直廃止等など、女性の権利獲得は広教組運動の大きな原動力となってきた。組合員の6割以上を占める女性の声がひろがっていくこと、男女がともに担う労働運動をつくっていくことは、組織の拡大・強化にとってますます重要になっている。
 広教組は1996年度に「女性参画推進委員会」を組織し、1997年「女性参画推進行動計画」を策定し、2000年度までに女性参画率30%以上をめざした。2007年には「第二次女性参画推進行動計画」を策定し、2015年度までに参画率50%以上をめざした。2014年度以降は女性参画推進を組織部に位置づけてとりくみを進めた。2016年には「第三次女性参画推進行動計画」を策定し、引き続き、2025年度までに参画率50%以上をめざしてきた。
 2025年度における意思決定機関への参画率は、大会代議員56.3%、中央委員51.9%であった。この間のとりくみにより女性参画を意識した選出がされている。しかし、分会長における参画率は52.6%と、広教組組合員における女性の割合に近いものの、支区四役では32.7%であった。また、専従役員は33%、確定交渉団における参画率は39.6%であった。意思決定機関への参画とともに、県教委交渉および市町教委交渉への参画という面からも支区役員(とりわけ四役)への位置づけが重要である。

 女性の参画を阻む要因として、次のことが考えられる。
1.家事・育児・介護負担の偏りによる時間的制約
 育児や家事などの負担が女性に偏っていることから生じる時間的制約が、夕方以降の会議や遠方での会議、宿泊を伴う活動等の組合活動に女性が参加することを困難にしている。
2.固定的性別役割分担意識
 社会に根強く残る「男は仕事、女は家庭」という価値観が、「役員は男性が担うもの」、「女性は補佐」という偏見を生み出している。そのことが、女性自身に「自分は役員には向かない」と思い込ませ、賃金・労働条件交渉といった組合運動の核となる役割から女性を遠ざけている。
3.好意的性差別
 「女性は大変だから、責任の重い役職は気の毒」「女性でもできる役職に就いてもらおう」「無理して参加しなくていいよ」といった、一見思いやりに見える姿勢が、女性の組合活動や役員への参画の意欲と機会を奪っているケースがある。
4.ロールモデルの不足
 身近に女性の執行委員や三役の経験者が少ないため、女性組合員が役員活動をイメージしにくいことが、役員を担う意欲を削いでいる。

 これらの要因を解消していくためには、社会に根強くある固定的性別役割分担意識の解消のとりくみを進めていきつつ、女性自身のエンパワーメントを高めるとりくみが重要である。また、長時間労働を前提とする働き方をはじめ、会議等の持ち方など組合活動のあり方を見直すことも必要である。
 現状として、多忙化や長時間勤務により、仕事と生活を両立できない状況が続き、立ち止まって考えることや、仲間と集まり対話するゆとりが奪われている。また、私たち自身が固定的性別役割分担意識や性差別を温存助長させていることに無自覚になっており、子どもたちに差別意識を刷り込んでいることに気づけなくなっている実態がある。
 私たちが仕事と生活を両立しながらモチベーションを持って働くことができるとともに、すべての人が性別に関係なく個人として尊重され、その人らしさを発揮できる、だれもが生きやすい社会を実現していくために、まずは、私たちが自分や自分の身の周りにあるジェンダーバイアスや性差別に気づき、解消していくための学びと行動を継続して積み重ねなければならない。

ジェンダー平等社会の実現に向けて、教育・労働の分野から性差別を撤廃する。

1.労働組合として、あらゆる組合活動にジェンダー平等の視点を持ち、男女が共に担う運動を進める。
2.女性参画を推進していくため、「組織改革」「制度改革」「意識改革」にとりくむ。

(1)組織改革…組織強化・拡大、意思決定機関や執行体制への参画
(2)制度改革…誰もが働きやすい職場づくり、労働条件改善
(3)意識改革…組合員の学習の推進、学校教育におけるジェンダー平等教育の推進
3.広教組第四次女性参画推進行動計画の期間は2030年度までとする。毎年点検と分析を行い、組合員に対して課題提起と周知を行う。

1.広教組本部のとりくみ
(1)組織拡大・強化を図る。【重点】
(2)本部・支区執行体制への女性参画を進める。
 ○本部役員における女性の複数配置をめざしてとりくむ。
 ○支区四役への女性参画率50%以上をめざしてとりくむ。【重点】
(3)意思決定機関への女性参画を進める。
 ○大会代議員・中央委員の女性参画率50%以上の維持をめざしてとりくむ。【重点】
 ○議長、議事運営委員等にクオータ制を継続する。
 ○大会・中央委員会等で女性参画率を報告する。
(4)女性参画のための環境整備を行う。
 ○会議等の開始・終了時刻を明示して厳守する。
 ○会議は必要に応じてオンライン併用で実施する。
 ○学習会等における託児室の設置やオンライン併用に努める。
(5)仕事と生活の両立をはかる。
 ○両立支援制度の周知・新設・改善にとりくむ。
 ○業務改善と時間外勤務の縮減にとりくむ。【重点】
(6)女性のエンパワーメントを高める。
 ○確定交渉等への女性参画を推進する。【重点】
 ○中央行動や全国集会等への女性参画を働きかける。
(7)女性参画やジェンダー平等に関する学習を進める。
 ○合理性のない性別による区別をしないとりくみを進める。【重点】
 ○女性参画やジェンダー平等をテーマとした学習会を年間1回以上開催する。【重点】
 ○青年層への学習を強化する。
 ○教育時報やSNS等を活用し、啓発活動や学習資料提供などの広報活動に努める。
(8)包括的性教育の推進にとりくむ。
(9)女性参画推進委員会を開催する。
 ○年間3回以上開催し、現状分析を行うとともに、執行委員会に対して提言を行う。

2.支区のとりくみ
(1)組織拡大・強化を図る。【重点】
 ○全分会長会議を定例化するとともに、出席率の向上をはかる。
(2)執行体制への女性参画を進める。
 ○支区四役における女性参画率50%以上をめざしてとりくむ。【重点】
(3)意思決定機関への女性参画を進める。
 ○大会代議員・中央委員の女性参画率50%以上の維持をめざしてとりくむ。
(4)女性参画のための環境整備を行う。
 ○会議等の開始時刻・終了時刻を明示して厳守する。
(5)仕事と生活の両立をはかる。
 ○市町教委交渉を行い、業務改善と時間外勤務の縮減にとりくむ。【重点】
(6)女性のエンパワーメントを高める。
 ○市町教委交渉等への女性参画を進める。【重点】
(7)女性参画やジェンダー平等に関する学習を進める。
 ○学習会を開催する。
 ○支区情宣等を活用し、広報活動に努める。
 ○合理性のない性別による区別をしないとりくみを進める。【重点】
(8)包括的性教育の推進にとりくむ。

3.分会のとりくみ
(1)組織拡大・強化を図る。【重点】
 ○分会会議を定例化する。【重点】
(2)分会体制への女性参画を進める。
 ○分会長の女性参画率50%以上の維持をめざしてとりくむ。
(3)仕事と生活の両立をはかる。
 ○所属長交渉を行い、業務改善と時間外勤務の縮減にとりくむ。【重点】
(4)女性のエンパワーメントを高める。
 ○所属長交渉への女性参画を進める。【重点】
(5)女性参画やジェンダー平等に関する学習を進める。
 ○職場での気づきやおかしいと思ったことを声に出す。
 ○合理性のない性別による区別をしないとりくみを進める。【重点】
(6)包括的性教育の推進にとりくむ。

2025年6月13日 女性参画推進委員会